スマートファクトリー

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ネットワークテストがスマートファクトリーへの道を開く

5Gには、未来のスマートファクトリーが無線接続に必要なすべてがありますが、ネットワークテストが不可欠です。

3GPPリリース15により標準化された5Gテクノロジーは、現在の5Gネットワークの基本です。リリース16では、レイテンシー、ネットワーク同期、および産業用イーサネットネットワークの統合が大幅に向上することが期待されています。リリース16の形成には、5G Automotive Association(5GAA)や5G Alliance for Connected Industries and Automation(5G-ACIA)が重要な役割を果たしています。このリリースにより、5Gはスマートファクトリーの要件を満たすために最適なテクノロジー(インダストリー4.0)へと変化することができます。これらの要件の特徴は、すべてのプロセスに対するデータ駆動型のリアルタイム制御と、迅速で柔軟な製造ラインの再構成です。マシン、人間、プラント、物流、および製品の完全な接続は、無線テクノロジーによってのみ実現可能です。無線5Gを基盤とする高速なリンクは、複雑なファクトリー構造を統合する繊細なシステムになります。データフローが短時間中断しただけで、深刻な影響と高いコストが生じる可能性があります。そのため、無線ネットワークの設計、セットアップ、監視には、十分な注意が必要です。以下に述べるように、プロセスには、複数の段階(テストを含む)が要求されます。

無線コネクテッドファクトリーにおけるモバイルネットワークの重要なKPI

スマートファクトリーは、マシンの接続性と信頼性だけでなく、データセキュリティーや人の安全にも関わる厳格な要件を満たさなければならないクリティカルな環境です。これは特に、無線テクノロジーが接続を提供する場合に当てはまります。

冗長性は実証済みの方法で、信頼性を高めることができます。スマートファクトリーでは、すべての場所に少なくとも4つの無線アクセスポイントを設置する必要があります。オンサイトテストは、このアクセスを検証する唯一の方法です。構造の変更は無線電波の伝搬条件に影響を与えるので、テストは、設置時のみならず、マシンの再構成や建物のレイアウト変更を行うたびに必要です。

至る所に信頼性の高いアクセスが必要ですが、これだけではトラブルのない運用に十分ではありません。もう1つの要件は、達成可能なデータスループットだけでなく、多くの場合、さらに重要なレイテンシー(信号がシステムを通過するために必要な時間)でも、適切な性能測定値が得られることです。4Gまでの従来の移動体通信テクノロジーでは、レイテンシーが短くないために、リアルタイムの制御要件を満たすことができませんでした。これは、レイテンシーが数ミリ秒である5Gには当てはまりません。

レイテンシーには、往復と片方向という2つの形態があります(図1)。拡張現実や仮想現実のユースケースでは、AR/VRグラスを装着した人が頭を動かした時に、動画コンテンツの素早い更新により合成データと実画像の整合性を保てるように、短い往復レイテンシーが必要になります。逆に、コネクテッドマシンのリアルタイム制御では、低い片方向レイテンシーが求められます。たとえば、ロボットの停止コマンドのような制御コマンドが送信されたら、すぐにその動作が起動される必要があります。

図1

片側レイテンシーは、トランスミッターからレシーバー方向の信号遅延です。往復レイテンシーには、レシーバーの応答時間と戻り遅延が含まれます。

図2

ローデ・シュワルツよる各ネットワークテストフェーズでの支援

ネットワークテストの5つのフェーズ

工場を全体として計画するときには、5フェーズのテスト計画に基づいて、無線ネットワークを各フェーズに実装します。図2に、ネットワークが厳格な信頼性要件と性能要件を満たしていることを検証するための最初の4フェーズを示します。

フェーズ1:ロールアウトの準備

ドイツなどの国では、キャンパスネットワークやプライベートネットワークのために5G周波数が確保されています。工場のオペレーターは、これらの周波数の使用を申し込むことができます。ネットワークのセットアップと運用は社内で整備することができますが、通常はサービスプロバイダーがこれを行います。キャンパス専用の周波数がない国では、工場の接続のために大手ネットワークプロバイダーのリソースを予約します。プロバイダーは、工場周辺にネットワークを集約するか、工場に追加の基地局をインストールすることで、要求を満たします。

ネットワークがキャンパス周波数バンドを使用する場合は、導入時にスペクトラムを確認して干渉を調査する必要があります。経験により、新たに割り当てられたスペクトラムや、これまで使用されていないスペクトラムでは調査する必要のないことがわかっています。R&S®TSMx6 ネットワークスキャナー、R&S®FPH/R&S®FSH ハンドヘルド・スペクトラム・アナライザ、およびR&S®MNT100/R&S®PR200 ポータブル・テスト・レシーバーで、必要な測定を実行します。

フェーズ2:サイト受け入れテスト

第2フェーズでは、新たに配備された基地局のテストと検証を行います。これには、ダウンロード/アップロードテスト、往復レイテンシー測定、無線(OTA)RFスペクトラム解析、および信号デコードなどの簡単なファンクションテストが含まれ、5G/LTEアンカー信号のPCI、SSB、およびSIBデータを検証します。

問題や想定外の結果が生じた場合には、信号デコードも特定のパラメータをトラブルシューティングするために役立ちます。ローデ・シュワルツの製品ポートフォリオは、これらの作業に最適な測定器を提供しています。QualiPoc Androidは、スマートフォンベースのソフトウェアで、ファンクションテスト(DL、UL、ping/TWAMP)を用いてユーザーの観点からモバイルネットワークサービスを評価します。R&S®Spectrum Rider FPH ハンドヘルド・スペクトラム・アナライザは、OTAスペクトラム測定に最適です。一方、R&S®5G サイト・テストソリューションは、包括的なモバイルネットワーク状況の概要を提供します。これにより、弱点や問題のある領域を短時間で特定することができます。

図3: ローデ・シュワルツによるスマートファクトリー化と干渉探索
図3: ローデ・シュワルツによるスマートファクトリー化と干渉探索
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フェーズ3:カバレッジおよび性能テスト

いよいよ現実的なテストです。目的は、工場全体でネットワークが必要な要件を実現していることの確認です。R&S®TSMx6 ネットワークスキャナーは工場サイト全体で測定を実行し、すべての場所で、基準信号受信パワー(RSRP)と品質が適切であるネットワークアクセスポイントの数を、信号対干渉プラス雑音電力比(SINR)として示します。先に述べたように、少なくとも4倍の冗長性を備えるのが望ましくなります。QualiPoc Androidでは、エミュレート済みのトラフィックプロファイル、レイテンシー測定、および伝送品質を1つの双方向性テストに結合することで、接続のリアルタイム性をテストすることができます(図4、5参照)。R&S®SmartONE リアルタイム最適化ソフトウェアでは、測定結果と、改善の対象となる問題領域をただちに可視化することができます。

フェーズ4:サービス品質のモニタリング

フェーズ4の測定は、工場で無線ネットワークがクリティカルなインフラである場合に必要です。インフラが故障すると、収益性と生産性が大幅に低下するからです。そのため、工場責任者は、明確に定義されたサービスレベル契約(SLA)をネットワークプロバイダーと交わし、常時SLAに基づくコンプライアンスを確認できる必要があります。カスタムRFセンサが、工場の至る場所と無人搬送車(AGV)、および自律走行型搬送ロボット(AMR)に分散配置されています。あらゆる場所で、レイテンシーを含む接続品質が定期的に測定され、結果は監視センター(SmartMonitor)に通知されます。結果は、リアルタイムダッシュボードに可視化されます。SmartAnalyticsなどのツールでは、より詳細なオフライン解析が可能です。ソフトウェアは、機械学習を用いてトレンドと異常を特定し、速やかに異常の兆候を示して、実際に障害事例が発生する前に予防的な対策を講じられるようにします。

図4および5:ローデ・シュワルツのネットワーク性能測定
図4および5:ローデ・シュワルツのネットワーク性能測定
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フェーズ5:外部環境との規定された互換性の検証

フェーズ4の完了を節目にセットアッププロセスが終了し、ネットワークの運用が開始されます。最後の作業は、プライベートネットワーク用のライセンス条件によるコンプライアンスを確保することです。意図されるカバレッジ領域外での漏洩信号は仕様化されており、定義されているリミット以内に抑える必要があります。そうすることで、同じ周波数バンドや隣接周波数バンドを使用している隣人が干渉するのを防止できます。工場責任者は、コンプライアンスを確認することが推奨されます。この作業は、R&S®Freerider4やドローン搭載型のネットワークスキャナーのようなウォークテストソリューションで実施できます(図3)。

まとめ

さまざまな業界で、既存工場のスマートファクトリー化が求められています。従来の組織化された運用では、柔軟性とコストメリットのある新世代の工場と競争するのは困難です。1つの特長は、低レイテンシー(5G)無線通信による機器の完全な接続です。適切な電子計測サポートにより、このようなネットワークのセットアップと運用が容易になります。ローデ・シュワルツの製品ポートフォリオは、ネットワークプロバイダーと工場責任者に、必要なすべてを提供します。

図6:ローデ・シュワルツのQualiPoc スマートフォンソフトウェア
図6:ローデ・シュワルツのQualiPoc スマートフォンソフトウェア
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