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ナレッジトランスファーが未来のイノベーションを推進

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Updated on 5月 21, 2025 🛈
Originally published on 5月 13, 2025

絶えず急速に変化し、グローバルにつながった現代社会では、ナレッジは私たちの最も重要なリソースの一つです。教育とトレーニングを受ける機会があることは、私たちにとって「貴重な資産」と言うことができます。ローデ・シュワルツは、この考えや捉え方を単に支持するだけではなく、お客様、パートナー様、大学、公的機関、各種の委員会とともに日々実践しています。グローバルなテクノロジーグループである弊社は、ナレッジがイノベーションと進歩を推進することを理解しています。経済を成長させ、弊社の競争力を維持するにはナレッジが必要不可欠です。ナレッジは、すべての人々の繁栄に重要な役割を果たしています。

ローデ・シュワルツにとって、ナレッジトランスファー(ナレッジの伝達/移転)は常に重要な存在でした。お客様や利害関係者との間で信頼関係を築くには、技術的なインサイトの共有が必要であると創業時から認識していました。この理念は、産業、政府、社会に同時に価値を生み出します。現在、ローデ・シュワルツの製品とソリューションは、たとえ裏方としての役割であっても、さまざまな分野で活用されており、そのテクノロジーは無線、地上、海上のあらゆる場所に存在します。弊社は、現在と将来の最先端技術の開発者かつパイオニアであり、人工知能(AI)、6G、および重要インフラの保護に大きな貢献を果たしています。

将来に備えた無線通信アプリケーションのための強力なナレッジネットワーク

社会的な課題を解決するには、学際的なアプローチ、さまざまな視点、専門知識の融合によって、最善の解決策を生み出す必要があります。

科学技術の専門知識の共有に価値があることを示すのが、電気自動車と5Gに関するウォーリック大学(英国の国立総合大学)のユースケースです。同大学は、コネクテッド自動運転車の研究を通じて、エコシステム全体を結び付けており、このプログラムには、自動車メーカーとそのサプライヤーだけでなく、インフラメーカーとネットワークプロバイダーも関与しています。同大学は、5Gテストベンチを使用して、未来の自動車に無線テクノロジーを適用する方法を研究しています。このテストベンチに使用されているのが、ローデ・シュワルツの電子計測機器です。同大学のDr. Matthew Higginsは、次のように強調しています。「政府と産業界は、コネクテッド自動運転ソリューションの加速を通じて達成できる多くの社会経済的インパクトを認識しています[...]。その中には、安全性の向上や排出量削減も含まれます。このメリットにより[...]、私たちは実際に自動運転車を研究段階から実現段階へと進めることができ、社会にインパクトを与えることができるのです」。

ローデ・シュワルツは、測定器と専門知識のリーダー的存在です。5Gはすでに現実であり、次世代の6Gの研究もすでに始まっています。ローデ・シュワルツは初期段階から6G研究に密接に関与し、ヨーロッパ、米国、日本の6G組織、大学、研究機関で進行中の基礎研究を積極的に支援してきました。パートナー様やお客様とともに、こうした初期の研究開発段階を支援し、6G規格の一部となるテクノロジーコンポーネントを明確化するため、テストソリューションの積極的な適合化に取り組んでいます。また、未来志向のローデ・シュワルツは、政府が出資する複数の6G研究プロジェクトに参画しています。これらのプロジェクトの多くは、化学などの他業界の企業との連携や共同作業につながり、さまざまな専門知識を結集することで価値を生み出しています。

規格の策定は、無線通信業界全体にとって極めて重要です。最大限の信頼性と公共の安全を確保するには、複雑かつ調整された規制が不可欠です。こうした規制を定める責任は、各国の政府当局にあります。関係機関や組織が世界中の政府を支援しており、ローデ・シュワルツの専門知識、製品、ソリューションは多くの機関から信頼を得ています。

委員会や公的機関との長年にわたる協力

委員会や機関と協力

国際電気通信連合(ITU)などの組織との長年にわたる協力は、ローデ・シュワルツにとって重要な取り組みです。情報通信テクノロジーの国連機関であるITUは、世界の無線周波数スペクトラムと衛星軌道の管理で重要な役割を果たしています。ユーザー間の干渉を最小限に抑え、周波数の効率的な利用を促進するために、ITUは国際規格を定めました。実証済みの専門知識を持つ最先端のテクノロジーグループであるローデ・シュワルツは、ITUにとって重要なアドバイザーであり、電子計測規格の策定と技術マニュアルの作成でも重要な役割を果たしています。

弊社は約60年間にわたりITUのパートナーであり、ITU Academyで政府専門職員のトレーニングに重点的に取り組んできました。トレーニングでは、規格に準拠したスペクトラムモニタリングシステムを効果的に実装するためのスキルを規制機関に提供しています。受講者は、複雑で高品質な機器を使用するとともに、テクノロジーリーダーや業界の専門家から貴重な知識を直接得ることができます。ローデ・シュワルツのモニタリング&分析担当バイスプレジデントであるAnne Stephanは、次のように述べています。「ナレッジの構築と共有は、あらゆる進歩の基盤です。相手が政府であれ産業界であれ、利害関係者や意思決定者と緊密に連携することで全体像を把握でき、将来を見据えたソリューションに基づいて重要なインフラやネットワークの信頼性を高めるために協力することができます」。

市場やお客様との調和

未来の最先端テクノロジーに関して言えば、ローデ・シュワルツにとって、エコシステム全体との継続的な対話とお客様との緊密な関係が不可欠です。専門家であることと、専門知識を利用できるようにすることは、まったくの別物です。専門知識を利用できるようにするには、既存のノウハウを、最大の効果を発揮できる場所に最も必要なタイミングで提供する必要があります。

ローデ・シュワルツでは、お客様やパートナー様、利害関係者の皆様に合わせた包括的なトレーニングプログラムを多様な形式で提供しています。標準レパートリーには、ライブまたはオンデマンド形式のウェビナー、ホワイトペーパー、簡潔なナレッジナゲットが含まれ、すべて一元的なプラットフォームから入手できます。お客様とパートナー様は、幅広いハンズオンセミナーとトレーニングをローデ・シュワルツ社内で直接、あるいはライブイベントで受講することができます。ライブイベントの一例が、電磁両立性(EMC)に焦点を当てた複数日のイベント、Demystifying EMCツアーです。このイベントは世界の複数の都市で開催され、オンサイト、オンラインの両形式でテクニカルエキスパートと接することができます。カスタマイズされたセッションとワークショップでは、質の高いノウハウや、実践経験に関する独自の知見のほか、EMCコミュニティ内でEMIのトラブルシューティング、コンプライアンステスト、校正について直接交流できる機会が提供されます。

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未来を形作る次世代の成功モデル

技術的成果の達成は、外部から正しいインプットが行われるかどうかにかかっています。そのため、ローデ・シュワルツは大学と緊密に連携しています。弊社は、ドイツのイエナ大学の博士課程に属していた2人の技術的パイオニアによって90年以上前に設立されました。そのため、現在でも先駆的なアイデアと科学的な熱意の力を信じています。ローデ・シュワルツは、次世代のエンジニアが将来の課題に取り組むための最高のサポートと教育を受けられるように、世界中の大学に高精度で信頼性の高い電子計測機器を提供するなど幅広い支援を行っています。また、ラボ向けの技術文献の提供、学生コンテストの支援、専門家の講演によるナレッジの継続的な共有にも取り組んでいます。ドイツのデッゲンドルフ工科大学との協力は20年以上続いており、同大学は、応用コンピューターサイエンス・情報工学部と電子工学・情報技術学部の校舎の名前を変更し、Rohde & Schwarz Forumと命名しました。非常に象徴的な名称であり、研究・教育における弊社の長年にわたる協力を示す強力なシンボルです。弊社はこの理念に従い、革新的精神の促進に常に取り組んでいます。その中にはTUM Venture Labsとの長年にわたるパートナーシップがあり、ロボット、AI、6G、航空防衛に関するインキュベータープログラムのフレームワーク内で緊密な協力関係を築いています。

さらに弊社は、ドイツのフリードリヒ・アレクサンダー大学エアランゲン=ニュルンベルクおよび同大学の高周波工学教授とのパートナーシップを成功させました。このグループは、R&S®QPS セキュリティースキャナーの性能向上を目指して同大学の博士課程の学生たちが設立したfiveDのスタートアップに関与しています。空港やスタジアムで使用されるセキュリティースキャナーのテクノロジーを継続的に最適化するという将来性のあるソリューションに向けて、両社は協力して取り組んでいます。これは、産業界、研究機関、専門家が連携して将来の最先端技術を創出できるもう一つの事例と言えます。

ローデ・シュワルツの国際的な取り組みとしては、アフリカでの活動があります。一部の国々の大学に高性能測定器を提供し、革新的な研究開発プロジェクトの実施と、国内および国際レベルでの最先端研究の推進のためにRFラボを設置しています。また、新しい測定器の操作方法をトレーニングするために、仮想のトレーニングコースと対面のセッションも実施しており、受講を通じてこれらの国々の学生は、現地の教育機関で大学の学位を取得することができます。その結果、時間とリソースが節約されるだけでなく、現地の若い才能の育成にもつながります。学生たちは自らのスキルと知識を活用して、自国が直面している課題に対して最新の解決策を導き出すことができます。高度専門人材として、彼らは自国の社会と経済に貢献することになるはずです。

大学との緊密かつ一貫した協力関係

教育、研究、キャリアのための最高の基盤

ナレッジは、適切な基盤があって初めて伝えることができます。ローデ・シュワルツは、包括的な専門知識を活用して、適切な基盤を社内で構築してきました。ナレッジトランスファーは、教育とトレーニングから始まります。イノベーションとパイオニア精神は、弊社のアイデンティティの一部です。入社初日から、この2つは欠かせません。若者は明日のテクノロジーリーダーであり、この初日はプロフェッショナルとしての未来を形作る第一歩です。

ローデ・シュワルツは、電気工学、コンピューターサイエンス、機械工学を含む14の職業訓練プログラムといくつかのデュアルスタディープログラムを提供しています。高度な職業訓練を(学業の代わりに)選択することも、大学での理論習得と企業での実践を体系的に切り替えることもできます。職業訓練マネージャーのRudolf Hitzlは、弊社の理念について問われた際、「私たちは一人ひとりを見て、その人の強みと情熱を評価します。その上で、できる限りその人をサポートします」と語っています。トレーニングの質の高さは、数々の受賞歴が証明しています。ドイツの最優秀研修生には、常にローデ・シュワルツの研修生が含まれています。

かつての研修生であり、現在はシステムエンジニアを務めるMoritz Haunertは、R&S®QPS セキュリティースキャナーを使用したお客様のプロジェクトを担当しています。システム統合のITスペシャリストとしてトレーニングを受けた際、この分野で初めての経験を積みました。「配属第1週目にシュツットガルト空港プロジェクトの担当となり、プロジェクトの成功の鍵となる業務を任されました。それは、モチベーションの源泉となりました」と、彼は回想しています。

研修生時代に学んだすべてが、今でもMoritz Haunertの中に息づいています。弊社のナレッジの恩恵を受けたのは彼だけではありません。世界中の拠点で活躍する専門家のネットワークが、尽きることのないノウハウの基盤となっています。さらに、継続的な教育と専門能力の開発は、ローデ・シュワルツの最優先事項です。弊社の社内教育ポートフォリオには、新入社員向けのグローバルなオンボーディングジャーニーから、在籍期間を通じての技術的または個人的なスキルの開発、実践的な管理職向けプログラムまで、あらゆるキャリアレベルに合わせた幅広いイベントが含まれています。また、協力し合うオープンな文化により、新しい従業員は経験豊富な従業員から学ぶことができます。現在弊社で活躍している専門家の多くが、かつては研修生としてキャリアをスタートしました。

初日から行われるナレッジトランスファー

ナレッジがイノベーションを推進

ナレッジの構築と共有は、今後もローデ・シュワルツで重要な役割を果たし続けます。弊社は毎年収益の15~20 %を研究開発に投資し、テクノロジー分野でのイノベーションリーダーシップに重点を置いています。ナレッジはマーケットポジショニングの重要な要素であり、安全でつながり合った世界を目指して現代社会でイノベーションを推進する原動力でもあります。

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