5Gネットワークスライシングの可能性を拓く
CMX500 無線機テスタによる動的リソース割り当てを使用した5Gデバイスでのネットワークスライシングの包括的なテストと検証。
CMX500 無線機テスタによる動的リソース割り当てを使用した5Gデバイスでのネットワークスライシングの包括的なテストと検証。
課題
5Gネットワークスライシングを使用すると、1つの共有物理ネットワーク上に複数の仮想ネットワークを構成できます。各スライスは、専用のリソースと経路を持つハイウェイ上の専用レーンのように機能します。リソースを動的に割り当てることで、柔軟性と効率性が向上します。ネットワークスライスでは、拡張現実、モノのインターネット(IoT)、自動運転車両などの複数のアプリケーションをサポートできます。各スライスは、速度、キャパシティ、セキュリティといったアプリケーション仕様に合わせてカスタマイズされます。ネットワークスライシングを使用すると、ネットワークを異なる複数のユースケースに合わせて構成し、パフォーマンスとリソース使用率を最適化することができます。メーカーやプロバイダーは、テストおよび検証に関する厳しい規制/規格に従う必要があります。
"Bearer & Flowmonitor"でのネットワークスライシングおよびPDUセッションのモニタリング(アクティブQoSフロー、専用IP、DNSサーバー情報)
ローデ・シュワルツのソリューション
ローデ・シュワルツは、5Gデバイスでのネットワークスライシングのテストと検証を行うための幅広いツールとソリューションを取り揃えています。これらのソリューションを使用することで、各ネットワークスライスを効率的に動作させ、ネットワークスライスごとの性能要件を確実に満たすことができます。5Gワンボックス・シグナリング・テスタであるCMX500 無線機テスタは、モバイルネットワークをシミュレートすることでネットワークスライスの作成と管理を行うことができる汎用的なツールです。
このテスタでは、ネットワークスライシング機能のエンドツーエンドのテストのための制御された環境を得ることができます。XLAPIおよびR&S®CMsquares Snippetsを使用してスライス設定を行うことで、ネットワークスライスのセットアップを柔軟かつ効率的に行ってテストケースの正確な設定と自動化を実現し、同時に、さまざまなネットワークスライシングのシナリオをシミュレートすることができます。CMX500は、さまざまな種類のトラフィックとルート選択記述子をテストするための柔軟性の高いソリューションで、データが個別のスライスを通ることを検証するのに役立ちます。
スループット(TP)モニター、遅延測定およびフロー/ベアラーモニターなどのネットワークスライシングのビジュアリゼーションツールでは、個別のスライスの詳細な視覚化とモニタリングを行うことができます。これらのツールは、性能上のボトルネックを特定して解決し、各スライスがサービス品質(QoS)の要件を満たしていることを確認するのに役立ちます。ネットワークスライシングのメッセージ解析を使用すると、ネットワークスライスのシグナリング情報と各スライスを伝送されるデータを可視化することで、ユーザー機器(UE)とネットワークの間の非アクセス層プロトコル(NAS)メッセージの詳細な解析を行い、問題点をすばやく特定してトラブルシューティングを行うことができます。
アプリケーション
ネットワークスライシングは、5Gネットワークの性能と効率性を高めるため、さまざまなシナリオで使用されます。CMX500は、ネットワークスライシング機能のテストと検証を行うための制御された環境を提供するという重要な役割を果たします。携帯電話用のネットワークスライシングをテストする際には、複数の側面を考慮する必要があります。
サービス品質(QoS)
スライスのQoS設定を音声などのサービス要件に適合させることが非常に重要です。CMX500上のPOLQAを使用して、音声品質検証などのさまざまなシナリオをテストする必要があります。適切なQoS設定を使用することで、アプリケーションに必要な帯域幅を確保し、機能上の優先度を付与する必要があります。
スライス間の分離
スライス間の分離を維持して、スライスが他のスライスに影響を及ぼさないようにします。パケット捕捉またはIP解析を使って分離の検証を行い、適切なスライスが使用されていることを確認することができます。テストシナリオでは、スライス1に高トラフィック、スライス2に音声通話、スライス3にIoTパケットを含めるといったことが可能です。セキュリティの評価は、スライス間でデータとサービスが侵害されていないことを確認するのに役立ちます。
エンドツーエンドのテスト
CMX500を用いたエンドツーエンドのテストは、実際のアプリケーションシナリオでスライスの性能と信頼性の包括的な評価を行うのに役立ちます。ここでは、さまざまなスライスで異なる複数のアプリケーションのユーザー体感を検証します。エンドツーエンドのテストは、実際のユースケースでネットワークスライシングの全体的な有効性を把握するのに役立ちます。
ユーザー体感
サービスによってさまざまなスライスが使用されているときのユーザー体感を評価することが重要です。ユーザー体感の評価では、ロード時間、ストリーミング品質、応答時間の評価などを行います。ユーザビリティーテストでは、全体的なユーザーの満足度が高まるように、アプリケーションインタフェースが直感的なものになっていて、スライス機能が明確に伝達されることを確認します。
まとめ
CMX500 無線機テスタは、5Gネットワークスライスのテストと検証に不可欠です。幅広い機能を使って、ネットワークスライスの正確な設定、モニタリング、解析を行い、各アプリケーションが必要なリソースを確保して、適切なサービス品質を確保できるようにすることができます。
さまざまなユースケースのネットワークスライシングの例