Tokyo 9月 27, 2021

新しいワイヤレス技術や衛星通信技術では利用する周波数域が一段と拡大しており、それに伴う仕様もます ます厳しくなっています。そのためRFシステム設計の初期段階におけるリアルな信号シミュレーションは以 前にも増して重要と言えます。後工程のハードウェアテストと同じ信号生成手法と解析アルゴリズムを用い ることで、初期設計の段階から動作検証まで直接的な結果の相関が得られ、エラーベクトル振幅(EVM)な どの広く利用される重要な性能指標の包括的で一貫した解析も可能になります。
こうした目標の実現に向け、ローデ・シュワルツはCadence Design Systems, Inc.社と協力して、5G やWiFiの最新の展開など多くの主要規格のすべてをサポートするR&S VSESIM-VSS信号発生/解析ツールを開 発してきました。この共同開発ソリューションは、両社の実績と定評のあるソリューションの強みをもとに 構築されており、信号生成と設計シミュレーション、信号解析の機能を兼ね備えています。そのため、開発 者や設計エンジニアは、開発プロセスのもっと早い段階から設計上の難しい課題に取り組むことができる最 適なツールとして有効に活用できます。
R&S VSESIM-VSS信号発生/解析ツールは、Cadence® Visual System Simulator™(VSS)ソフトウェアの拡張 として機能します。Visual System Simulator™ソフトウェアは、特にワイヤレス通信やレーダー設計に利用 されるRF部品やRFユニットのシステム・シミュレーションやモデリング用ソリューションとして定評があり ます。このVSSソフトウェアに対し、ローデ・シュワルツのR&S VSESIM-VSSは、そのワークフローへ現実に 即した信号を提供してシミュレーション精度を向上するとともに設計プロセスを容易することで、同ソフト ウェアの能力を拡張するように設計されています。R&S VSESIM-VSSには、動作回路やモジュール、デバイス のテストに向けたローデ・シュワルツの実績豊かな2つのソフトウェアツールの強みが活かされています。 シミュレーション用ソフトウェアR&S WinIQSIM2の信号発生機能と、ベクトル信号エクスプローラ・ソフト ウェアR&S VSEの信号解析機能の2つです。これらの機能をR&S VSESIM-VSSとしてまとめたうえ、Cadence社 の電子設計自動化(electronic design automation:EDA)ツール用のプラグインを追加しました。
このローデ・シュワルツのデータシンク・プラグインにより、設計プロセスのどの時点でも信号にアクセス できるようになります。さらに、その信号をベクトル信号発生器に転送し、利用したいハードウェアに適用 できるため、ハードウェアと擬似的な実装を複合してシステムレベルでの解析が行えます。また、R&S VSESIM-VSSの重要な機能の一つには、パワーアンプ開発のシミュレーション段階からいち早くリニアライゼー ションの効果を検証できる直接的なデジタル・プリディストーション(DPD)方法のサポートもあります。 1/2 そのほか、こうしたソリューションの統合によるメリットとして、ローデ・シュワルツ製品とCadence社製 ツールの互換性向上が挙げられます。ローデ・シュワルツのソリューションによる信号発生/解析機能が、 回路設計ソフトウェアのCadence Microwave Office®や無線周波数集積回路(RFIC)を含むRFユニットに対 応したCadence Virtuoso® RF Solutionなど、接続したほかのCadence社製品でも利用できます。
ローデ・シュワルツのEMC/アンテナ・テスト向けスペクトラム/ネットワーク・アナライザ担当副社 長Christina Gessnerは次のように説明しています。「EDA設計シミュレーションと試験・計測の分野をつな ぐことで、手戻りのない上手な設計と市場投入までの時間短縮をお客様が実現できるよう支援します。リア ルな信号を利用して、EVMなど一般的な指標の活用メリットを引き出すとともに、テープアウト前であって もリニアライゼーション性能を把握できるのは、お客様の競争上の強みとなるに違いありません。なにより も当社は、Cadence社との協力による成果を市場に出せることに期待を寄せています」。
Cadence社でカスタムIC/PCB部門のR&Dを担当する副社長Vinod Kariat氏も次のように話しています。「RFフ ロントエンドの通信用ICやシステムを開発しているお客様からすると、最新規格の利用は欠かせません。今 回のローデ・シュワルツとの共同開発ソリューションがあれば、私ども共通のお客様にとり、最終的なテス ト検証をも含めた設計の全段階を通じて規格準拠の信号を正確に解析できるようになります」。
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