5G NR – TDDネットワークのアップリンクでの干渉探索

小型でもきわめて高い性能を発揮
小型でもきわめて高い性能を発揮:R&S®Spectrum Rider FPHおよび指向性アンテナは、干渉源を識別して位置を特定するために役立ち、時分割デュプレックス(TDD)ネットワークにも対応しています。

課題

5Gの普及に伴い、スペクトラムのクリーンさを維持することがネットワーク事業者にとって新しい課題となってきました。ゲームアプリケーション、動画の高速ダウンロード、会議プラットフォームを通じたプレゼンテーションの共有といった用途では、高速なデータ伝送、きわめて短い遅延、きわめて高い信頼性が要求されます。スペクトラム効率の最大化とコスト競争が、無線市場を動かす要因になっています。

周波数ドメインで収集された5G NR TDD信号
R&S®Spectrum Rider FPHを使って周波数ドメインで収集された5G NR TDD信号。複製されたN78バンドから、3.5 GHzの中心周波数、100 MHzの帯域幅、30 kHzのサブキャリア間隔で捕捉されています。
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第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)の定義に基づいて、同じチャネルまたはバンド内のスペクトラムがダウンリンク(DL)とアップリンク(UL)で共有される場合、TDDテクノロジーが用いられます。TDDは無線の世界では新しいものではありませんが、その実装は新しい課題をもたらします。これは特に、従来のスペクトラム・アナライザで干渉を検出しようとする場合に当てはまります。

FDD信号(左)とTDD信号(右)の代表的構成
FDD信号(左)とTDD信号(右)の代表的構成
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通信のULは、DLよりも干渉の影響を受けやすくなります。ULに割り当てられた周波数レンジに集中するのは容易です。周波数分割デュプレックス(FDD)ネットワークでは、スペクトラム・アナライザやポータブルレシーバーを使用することで、干渉源を識別して位置を特定できます。TDDネットワークの場合、DLとULで同じ周波数が使用されるため、UL信号やその他の信号がDL信号によってマスクされてしまいます。

ULとDLのスロットの容易な分離
ULとDLのスロットの容易な分離

ローデ・シュワルツのソリューション

ローデ・シュワルツのR&S®Spectrum Rider FPH ハンドヘルド・スペクトラム・アナライザのようなハンドヘルドソリューションは、ゲーティッドトリガをサポートするので、ULとDLの信号をタイムドメインで分離できます。

Spectrum Rider FPHでゲーティッドトリガ機能を使用することによるULのDLからの分離
R&S®Spectrum Rider FPHでゲーティッドトリガ機能を使用すれば、ULをDLから分離して、間欠的な干渉信号を明確に特定できます(スペクトログラムを参照)。
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捕捉された5G NR(TDD)信号は、同じバンド内で常に移動しているため、ULをDLから分離するのが困難になります。

タイムドメイン測定(ゼロスパンモード)を使用すれば、ULとDLのスロットを可視化できます。ユーザーは、特定の長さのウィンドウまたはゲートを設定できます。このアプリケーションでは、ULスロットと一致するゲートを設定します。これにより、UL信号のスペクトラム測定を簡単に実行できます。

Spectrum Rider FPHでのUL信号への干渉の表示
R&S®Spectrum Rider FPHでのUL信号への干渉の表示
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干渉源の識別と位置特定

R&S®Spectrum Rider FPHがサポートするウォーターフォールダイアグラムは、干渉信号の識別に役立ちます。999時間までの長時間の記録により、散発的な干渉源も識別できます。特定の時間ウィンドウや特定の信号リミットに対応する信号を記録することもできます。

R&S®Spectrum Rider FPHには、干渉探索プロセスに便利なトーン機能が備わっています。機器のトーンを聴きながら、指向性アンテナを使って信号を探すことができます。干渉源のパワーが大きいほど、測定器が出す音は高くなります。

ローデ・シュワルツのハンドヘルドソリューションを使用することで、当初は不可能に思われた5G NR TDDネットワークでの干渉探索が、容易に実行できるようになりました。

サポートされるアナライザ、アンテナ、アクセサリ
サポートされるアナライザ、アンテナ、アクセサリ
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