ダイナミック雑音指数測定
R&S®FSWP 位相雑音アナライザ/VCOテスタは、レーダー/通信システムの主要なコンポーネントのノイズを正確に解析するためのハイエンドの測定器です。位相雑音測定は、実環境の動作条件でのデバイスの大信号雑音指数を導出するために使用されます。
R&S®FSWP 位相雑音アナライザ/VCOテスタは、レーダー/通信システムの主要なコンポーネントのノイズを正確に解析するためのハイエンドの測定器です。位相雑音測定は、実環境の動作条件でのデバイスの大信号雑音指数を導出するために使用されます。
課題
雑音指数測定は、増幅器、周波数コンバーターなどの信号経路内のデバイスの性能を評価するために広く用いられています。デバイスの雑音指数の測定値または仕様値は、システムデザイナーが伝送システムのアップリンク/ダウンリンクバジェットを計算する際に使用する重要なパラメータの1つです。
従来の雑音指数測定では、共通Yファクタ法という方法が用いられてきました(詳細については、「雑音指数測定のYファクタ法」アプリケーションノート(rohde-schwarz.com/appnote/1MA178)を参照してください)。この測定では、スペクトラム・アナライザとノイズソースを使用して、広帯域校正済みノイズソースによってシミュレートされたデバイスからの相加性雑音を測定します。このような測定で得られるパワーレベルは、小信号パワーレベルと呼ばれます。これらの雑音指数は、動作条件には直接関連しません。このようなデバイス条件は、入力パワーに大きく依存します。
トランスミッター内の増幅器は、小信号状態では一般的に使用されません。小信号雑音指数は、レシーバでははるかに重要です。モバイル基地局トランスミッターやレーダーの増幅器の通常の動作条件は、リニアリティと効率が最大になるきわめて限定された動作範囲内にあるのが普通です。この範囲は多くの場合、デバイスの1 dB圧縮ポイント付近にあります。
Yファクタ法で得られる雑音指数は、実環境の動作条件でのデバイスを正確に反映していない可能性があります。
ローデ・シュワルツのソリューション
デバイスの位相雑音は、雑音指数と密接な関係にあります。増幅器に対する雑音寄与には、大まかに言って、1/fフリッカーノイズと、フリッカーのニーを超える広帯域ノイズがあります。雑音指数はデバイスから発生する広帯域ノイズを表すので、広帯域位相雑音測定を使用することで雑音指数を計算できます。R&S®FSWP シグナル・ソース・アナライザは、DUTのドライブレベルを変更することで、さまざまな動作条件におけるデバイスの相加性/残留位相雑音/雑音指数性能を理解するために役立ちます。
雑音指数(NF)は、以下の式を使用して、位相雑音の結果から計算することができます。
NF = L(f) – Nth + Pin
ここで、
L(f):指定されたオフセットで測定された位相雑音(dBm単位、1 Hz)
Nth:熱位相雑音(–177 dBm(1 Hz))
Pin:DUTに印加される校正済み信号レベル
例
Yファクタ法により、増幅器の小信号雑音指数が、1900 MHzで1.9 dBと測定されました。位相雑音法を使用することで、さまざまな入力レベルでの増幅器の雑音指数を計算できます。
| DUTドライブレベル(dBm) | 位相雑音(dBc単位、Hz) | 雑音指数(dB) |
|---|---|---|
| –25 | –150.4 | 1.6 |
| –20 | –155.3 | 1.7 |
| 0 | –169.4 |
小信号法 なし |
まとめ
DUTが1 dB圧縮ポイント(0 dBmドライブレベル)に近づき、それを超えているため、同じ結果から計算された相加性位相雑音および雑音指数は大幅に悪化しています。実環境の動作条件では、位相雑音測定から得られた大信号位相雑音の方が、伝送システムのリンクバジェット計算のためのより信頼性の高い方法であることがわかります。R&S®FSWP 位相雑音アナライザ/VCOテスタを使えば、正確で信頼性の高い広帯域位相雑音測定を実行して、さまざまな動作条件でのデバイスの雑音指数を計算できます。
