モバイルデバイスに対するEUエネルギー効率指数規制

CMW500 ワイドバンド無線機テスタおよびCMX500 無線機テスタは、スマートフォンやタブレットがEUエネルギー効率指数規格を満たすかどうかのテストに最適です。

CMX500
CMX500とSmartViserのviSerテスト自動化アプリケーションを組み合わせることで、エネルギー効率機能のエンドツーエンドのテストのための制御された環境が得られます。

課題

EUエネルギー効率指数(EEI)ラベルの目的は、スマートフォンやタブレットのエネルギー効率に関する明確な情報を提供することで、持続可能な消費を促進することにあります。2025年6月20日以降、EU市場で販売されるすべてのスマートフォンおよびタブレットに、エネルギーラベリング要件が適用されます。2023年の規制では、具体的なエネルギー効率要件を設定していません。この規制は主に、フル充電のバッテリーでより長時間動作する、すなわちエネルギー効率が高いデバイスの普及を目指しています。このイニシアチブの目的は、充電の頻度を減らすことで、消費者が、購入に関する選択を、情報に基づいて持続可能な形で行えるようにすることにあります。エネルギーラベリング方式は、デバイスの耐久性と寿命の最適化をメーカーに促します。これは、持続可能な消費モデルに貢献し、環境への影響を減らす効果があります。

ローデ・シュワルツのソリューション

ローデ・シュワルツは、viSer テスト自動化アプリケーションの提供元であるSmartViserと協力して、スマートフォンやタブレットのエネルギー効率を、EU EEIのラベル要件に従ってテストするための、ツールとソリューションの包括的なスイートを提供しています。CMW500およびCMX500とviSerアプリケーションを組み合わせることで、エネルギー効率機能のエンドツーエンドのテストのための制御された環境が得られます。CMW500は、4G/LTE環境でのEEIテストに最適です。CMX500は、4Gテストをサポートするだけでなく、必要な場合はソフトウェアライセンスによって5Gにアップグレードできるので、将来に対応したソリューションが得られます。

EEIラベルの主な要素

ラベルにはいくつかの重要な要素が含まれます。

  • A~Gのスケールで表したデバイスの全エネルギー効率
  • 特定のエネルギー効率クラス
  • デバイスの耐久性を測定する反復自由落下信頼性クラス
  • バッテリーの性能と寿命を反映するバッテリーのサイクルあたり耐久性とバッテリーサイクル数
  • デバイスの修理の容易さを示す修理可能性クラス
  • 埃や水へのデバイスの耐性を示す侵入保護

エネルギー効率指数

EEIは、テスト結果からA~Gのスケールで計算されます。Aはエネルギー効率が最高レベル、Gは最低レベルであることを示します。次の式が用いられます。

EEIの式

EEIはエネルギー効率指数(1/W)、ENDDeviceはバッテリー耐久性(時間)、Unomは公称電圧(V)、Cratedは定格バッテリー容量(mAh)を表します。

EEI評価

下の表に、EEI評価の詳細な内訳を示します。これは、各デバイスカテゴリが、エネルギー効率性能に応じてどのように評価され、分類されるかを表しています。スマートフォンとタブレットは、エネルギー消費パターンと使用シナリオがそれぞれ異なっています。

エネルギー効率クラス スマートフォン タブレット
A(最高効率) EEI>2.70 EEI>7.90
B 2.30<EEI≦2.70 6.32<EEI≦7.90
C 1.95<EEI≦2.30 5.06<EEI≦6.32
D 1.66<EEI≦1.95 4.04<EEI≦5.06
E 1.41<EEI≦1.66 3.24<EEI≦4.04
F 1.20<EEI≦1.41 2.59<EEI≦3.24
G(最低効率) EEI≦1.20 EEI≦2.59

テストスケジュール

CMW500またはCMX500によってエミュレートされた4Gモバイルネットワーク内でEEIを判定するためのテスト手順は、スマートフォンとタブレットでそれぞれ異なるシーケンスから構成されます。テストシーケンスは100 %のバッテリー充電レベルから始まり、デバイスの電源がオフになるまでサイクルを繰り返します。

スマートフォンとタブレットの両方の基本手順では、通話(スマートフォンの場合)、ウェブブラウジング、ビデオストリーミング、ゲーム、データ転送、ビデオ再生といった要素が、間にアイドル期間を挟んで実行されます。テストの基本構成は同じですが、具体的なアクティビティと各要素の持続時間は、典型的な使用状況を反映して、スマートフォンとタブレットで異なります。

まとめ

EU EEIラベルは、スマートフォンやタブレットのエネルギー効率に関する明確な情報を提供することで、持続可能な消費を促進するための重要な一歩です。ローデ・シュワルツは、viSer テスト自動化アプリケーションの提供元であるSmartViser社(本社:フランス レンヌ)と協力して、これらのデバイスをEU EEIの要件に従ってテスト/検証するために不可欠なツールを提供しています。CMW500およびCMX500とviSerアプリケーションを組み合わせることで、エネルギー効率に関する正確な設定、モニタリング、解析が可能になり、各デバイスが必要な規格を満たすことを確認して、持続可能な消費を促進できます。

スマートフォンとタブレットのテストサイクル
スマートフォンとタブレットのテストサイクル。さまざまなアクティビティとアイドル期間が、被試験デバイス(DUT)がオフになるまで繰り返されます。出典:Commission Delegated Regulation (EU) 2023/1669(2023年6月16日)