MPIプローブステーションでの最高110 GHzの差動RFオンウエハー測定

課題

ウエハー上のデバイスの電気特性の測定は、5G、6G、ミリ波コンポーネントの開発、検証、製造に不可欠です。これらの測定は、通信、防衛、宇宙分野のテクノロジーの進歩に重要な役割を果たします。

増幅器、ミキサー、ラインの精密な特性評価は、後のモジュールや製品への統合の際に重要な意味を持ちます。さらに、製造のスループットを最大化するには、精密で高速なオンウエハーサンプルテストが必要です。

ローデ・シュワルツのソリューション

最高110 GHzの差動オンウエハー測定の課題に応えるため、R&S®ZNA67EXT ベクトル・ネットワーク・アナライザ（VNA）は、包括的なシングル掃引ソリューションを提供しています。

測定セットアップは、R&S®ZNA67 ベースユニットと外部周波数コンバーターの組み合わせで、110 GHzまでの精密で再現性のある測定を可能にします。

この測定セットアップの重要な利点の1つは、MPI Corporationのプローブステーションとの効率的な機械的統合にあります。周波数コンバーターは側面に取り付けられるので、コンバーターとRFプローブの間の距離が最小化されます。このデザインにより、ケーブルの屈曲と信号経路の長さが減少し、機械的安定性と総合的RF性能の向上に寄与します。

このセットアップは、仮想差動構成と真の差動構成の両方をサポートするので、さまざまな被試験デバイス（DUT）のシナリオに対応できる柔軟性が得られます。VNAのアーキテクチャーは、複数の位相コヒーレント信号源と並列測定レシーバーを備え、正確なマルチポート解析と真の差動ミックスドモードSパラメータ解析を、ミリ波レンジ全体にわたって実行できます。

RFプロービングの統合と安定性

このセットアップは、MPIの高性能プローブステーション（手動構成と自動構成が可能）を使用しており、熱チャックオプションと防振機構により安定したプロービングを可能にしています。このセットアップでは、RFインタフェースにMPIミリ波デュアルTITAN™プローブがGSGSG構成で使われています。これは120 GHzまでの差動測定に最適化されています。これらのプローブは、優れた寿命、リターンロス、挿入損失、ポートアイソレーションをミリ波レンジ全体で実現し、チップの可視性に最適化されているので正確なパッド接触が可能です。

再現性と位相安定度を確保するため、MPIは、周波数エクステンダーをプローブステーションにしっかりと取り付けるための専用の機械的統合フィクスチャを開発しました。このフィクスチャを使用すれば、ケーブルの屈曲や移動を最小化し、一貫性のあるケーブル経路を維持して、RF信号経路を短縮することができます。その結果、指向性の向上と損失の低減が得られ、タッチダウンを繰り返してもきわめて安定した測定が可能です。機械式フィードスルーに内蔵された独自のMPI RFプローブは、プローブのポジショニング確度に影響を与えずに、光を通さない測定を可能にします。

校正は、MPI TCSデュアル校正サブストレートを使用して行われます。これは、GSGSG構成専用に設計され、プローブのピッチに合わせて作られています。

MPI TCSファミリーは、次世代の校正サブストレートであり、ウエハーレベルRF校正手法の最新の成果と推奨手順に基づいて設計されています。独自のピア終端標準を使用することで、110 GHzを超える周波数で優れた校正確度を達成できるようになりました。

MPI QAlibria®およびSENTIO®ソフトウェアが全面的なサポートを提供し、高速で正確で信頼性の高い完全自動校正を、プローブチップだけでなくオンウエハー校正標準の使用時にも、広い温度範囲にわたって可能にします。

まとめ

最先端のRF性能と、スマートな機械的統合および高度な校正ツールを組み合わせたこのセットアップを使えば、複雑なミリ波テストを、信頼性の高い効率的なワークフローに合理化できます。

このセットアップを使えば、高周波／高精度アプリケーションを、最小限の複雑さと最大限の測定品質で実現できます。

R&S®ZNA67EXTとMPI Corporationのプローブステーションの組み合わせは、最高110 GHzの差動オンウエハー測定のための高い信頼性と精度を備えたソリューションを提供し、高度な半導体テストおよび特性評価の厳しい要求に応えます。

MPI Corporationは、半導体およびフォトニクステストソリューションの分野のグローバルリーダーであり、RF、フォトニクス、パワーデバイスなどの分野を対象とする高度なプローブシステム、プローブカード、熱試験ソリューションを専門としています。