MPIプローブステーションでのTHzレンジまでの3ポートオンウエハーミキサー測定

ミキサーは周波数変換プロセスに不可欠なコンポーネントであり、通信システムやレーダーシステムに広く用いられています。

3ポートオンウエハー測定のセットアップ
3ポートオンウエハー測定のセットアップ
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課題

デバイスのモデリングや検証の目的で、高周波ミキサーやその他の周波数変換コンポーネントをウエハー上で正確に特性評価することは、ミリ波レンジに入るにつれてますます困難になっています。
R&S®ZNA ベクトル・ネットワーク・アナライザ(VNA)は、変換損失やマッチングといった必要なミキサー測定を行うために推奨されるツールです。
ミキサーのトポロジーによっては、VNAの最高周波数を超えるミキサーのいくつかのポートで、ミリ波コンバーターを使用する必要があります。
さらに、すべての測定結果を得るには、被試験デバイス(DUT)を複数の位置でプローブする必要があります。

プロービングとの機械的統合
プロービングとの機械的統合
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ローデ・シュワルツのソリューション

高精度の3ポートミキサー測定をウエハー上で直接実行するには、特に周波数がTHzレンジに及ぶ場合、高性能、柔軟性、シームレスな統合を兼ね備えたソリューションが必要です。4ポートのR&S®ZNA ベクトル・ネットワーク・アナライザは、このような作業に最適です。

外部周波数コンバーターと組み合わせることで、RF、LO、IF経路すべてでの測定が可能になり、きわめて高い周波数レンジでのミキサーの特性評価を最大限の確度で行うことができます。

このソリューションの大きな利点の1つは、MPI Corporationのオンウエハープローブステーションとの効率的な機械的統合にあります。

ミリ波コンバーターは、すべての重要な方向でMPIプローブステーションに容易に取り付けることができます。ローデ・シュワルツは、ミキサーテスト用に1.1 THzまでの広範囲のミリ波コンバーターを提供しています。コンバーターの機械的デザインでは、ウエハーの近くに顕微鏡を配置するための十分なスペースが設けられています。

R&S®ZNAの高度なアーキテクチャーは、最大4つの位相コヒーレント内蔵信号源と8つの広ダイナミックレンジレシーバーを備え、高性能測定のための堅固な基盤となります。また、R&S®ZNAでは、2つの異なるコンバーター周波数バンドが使用できます。これは、DUTのRF周波数とLO周波数が異なる導波管バンドに属する場合に必要になります。

この構成は、変換損失、圧縮、アイソレーション、マッチングといった主要なミキサー測定を、単一のテスト環境でサポートします。

QAlibria®ウエハーレベルRF校正ソフトウェア
QAlibria®ウエハーレベルRF校正ソフトウェア
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3ポート周波数エクステンダーとの統合

MPIは、業界で初めて、3つの周波数エクステンダーを東、西、北位置に同時に取り付けることができるプローブステーション構成を提供しています。これにより、真の3ポートミリ波/サブTHz測定をウエハー上で直接実行でき、広帯域ミキサーなどの周波数コンバーターの特性評価に最適です。

この構成は、Dバンド(110 GHz~170 GHz)やGバンド(140 GHz~220 GHz)などの広範囲の周波数エクステンダーをサポートし、各エクステンダーに導波管プローブを直接接続できます。これにより、RF経路が最小化されるので、電力供給、位相安定度、指向性が最大化されるとともに、挿入損失と高周波測定の不確かさが軽減されます。

この機能は、ミリ波およびTHzプロービングに最適化された150 mm手動ステーションTS150-THZを含む、いくつかのMPIプローブシステムで提供されています。その他の手動および自動MPIステーションも、この3ポート統合を同じ機械的方式でサポートします。このデザインでは、エクステンダーの確実な取り付けを確保しながら、顕微鏡によるアクセスとプローブ配置の柔軟性を実現しています。安定した再現性のある接点は、一環性のある正確な測定結果を得るために不可欠です。これは特に、複数のポートや導波管バンドを扱う場合に重要です。

校正は、MPIの校正サブストレートまたはQAlibria®ソフトウェアから管理されるオンウエハーカスタム標準を使用して行われます。これにより、校正プロセスが大幅に簡素化され、校正の確度と再現性が向上します。

まとめ

R&S®ZNA ベクトル・ネットワーク・アナライザとMPI Corporationの高度なプロービングソリューションを組み合わせることで、THzレンジまでのきわめて正確な3ポートミキサー測定を、ウエハー上で直接実行できます。これにより、比類のない性能、柔軟性、機械的統合が得られます。変換損失、マッチング、アイソレーションなどの複雑な特性評価作業を実行できます。汎用的なR&S®ZNA ベクトル・ネットワーク・アナライザとMPI Corporationの革新的なプローブステーションを組み合わせることで、エンジニアは、ミキサー特性評価の限界を押し広げ、次世代のTHzおよび高速RFテクノロジーに関する信頼できる結果を得ることができます。

MPI Corporation
MPI Corporation

MPI Corporationは、半導体およびフォトニクステストソリューションの分野のグローバルリーダーであり、RF、フォトニクス、パワーデバイスなどの分野を対象とする高度なプローブシステム、プローブカード、熱試験ソリューションを専門としています。