課題
マルチフェーズ降圧コンバーター(インターリーブ型コンバーター)の各フェーズには、少なくとも1組のスイッチングトランジスタと1個のインダクターが存在します。マルチフェーズ特性の利点を活かすため、フェーズのオン時間は互いにずらされます。高負荷の定常状態動作では、すべてのステージがアクティブになり、相互のずれが均等になることで、電源電流がステージ間で均衡します。その結果、インダクター電流も位相シフトされ、電源電流と電源電圧のリップルが最小化されます。電流レベルが高い場合、導通損失が支配的になります。この場合、マルチフェーズ降圧コンバーターは、全電流が1つのステージでなく複数のステージに分配されるため、シングルコンバーターよりも効率が高く、発熱が少なくなります。
コントローラーベースのマルチフェーズ降圧コンバーターの場合、高負荷期間中はステージを動的にアクティブ化し、低負荷期間中はステージを減らすことができるため、さらに高い効率を実現できます。
マルチフェーズ降圧コンバーターは、負荷のステップに対する応答が速いという利点もあります。フェーズのオン時間が互いにずれているため、マルチフェーズ降圧コンバーターは、負荷のステップの直後のフェーズでパルス幅変調(PWM)信号を調整することにより、負荷のステップにすばやく応答できます。スタック型デザインでは、1次コントローラーがすべてのフェーズに対するPWM信号を供給します。このデザインでは、ステージ間で定義済みの位相シフトが維持されます。コントローラーベースのマルチフェーズデザインは、動的にフェーズを調整したり、対応するステージのPWM信号をオン/オフしたりすることで、負荷の過渡変動によるアンダーシュートやオーバーシュートをさらに減らすことができます。
マルチフェーズ降圧コンバーターは、高速SoCパワーデザインの性能と効率を上げるための強力なツールではありますが、検証やデバッグのためのテストを困難にする原因でもあります。多様な静的負荷条件や動的な負荷ステップシナリオでのフェーズ管理の解析が必要になるからです。