ダイヤモンド半導体の基礎研究に貢献 R&S Oscilloscope

ダイヤモンド半導体の基礎研究に貢献するR&Sオシロスコープ

メタンガスによるダイヤモンド結晶の精製。2 インチ(約 5 cm)の結晶生成まで可能な段階にきている。
メタンガスによるダイヤモンド結晶の精製。2 インチ(約 5 cm)の結晶生成まで可能な段階にきている。

無線給電ソリューションの鍵となる技術

国立大学法人佐賀大学 グリーンエレクトロニクス研究所嘉数研究室 / 理工学部 電気電子工学科 大石研究室では、要素技術としてのダイヤモンド半導体の可能性を研究しています。

研究対象であるダイヤモンドは、優れた物性を持つことが明らかになっています。その特性を活かすことで、真空管(TWT)の代わりとなるパワー半導体や、高周波から直流電流に変換する無線給電ソリューションのキー技術など、最先端分野での活用が期待されています。ローデ・シュワルツのオシロスコープは、2012 年に学生コンペティション受賞の副賞として佐賀大学に寄贈されて以来、ダイヤモンド半導体研究における測定器の一つとして研究の進展に寄与してきました。

図 1:高周波パワー応用での半導体の動作範囲
図 1:高周波パワー応用での半導体の動作範囲
図 2:高周波高出力デバイスの応用分野
図 2:高周波高出力デバイスの応用分野

ダイヤモンドの可能性

近年、ガリウムナイトライド(GaN)やシリコンカーバイト(SiC)といった次世代のパワー半導体が注目されていますが、これらよりもさらに優れた可能性を持つものがダイヤモンドです。佐賀大学では早くからその可能性に着目し、ダイヤモンドの研究を進めています。

ダイヤモンドはさまざまな面で優れた特性を備えています。ワ イ ド バ ン ド ギ ャ ッ プ(5.45 eV)、移 動 度(電 子 :4500, ホール :3800 cm2/Vs)、熱安定性(2300℃)、絶縁耐性(>10MV/cm)などで優れた値を記録し、高温動作、高周波動作、大電力動作に適しています。佐賀大学ではこれらの特性を活かし、信頼性の面からいまだに真空管(TWT)が利用されている通信衛星やレーダーなどでの、高周波パワー半導体として活用できると考えています。

また、ダイヤモンド半導体は優れた RF-DC 変換効率を持つことがわかっています。この特長を、自動車など高電圧の無線給電需要が見込まれているシーンにおいての、パワーデバイスとして活用することも想定し、研究に取り組んでいます。

図 3:NO2 /H ダイヤモンド MOSFET の IDS-VDS 特性
図 3:NO2 /H ダイヤモンド MOSFET の IDS-VDS 特性
図 4:ダイヤモンドダイオードを使った RF-DC 変換動作
図 4:ダイヤモンドダイオードを使った RF-DC 変換動作

着実に成果を上げている基礎研究

他の研究機関と同様に、佐賀大学でのダイヤモンド半導体研究はまだ基礎段階ですが、すでにトランジスタの作製を確立しています。作製方法はガリウムナイトライドと同様の T 型短ゲート電極です。バンドギャップが広くなることでドナーやアクセプターのレベルが深くなり、不純物を入れても B 型や N 型の作成が難しくなる傾向にありますが、佐賀大学では NO2 を付着させることで T 型に成形できることを発見しました。佐賀大学で作製されるダイヤモンドトランジスタの特性は約 1.35 A/mm を記録しており、実用のトランジスタとして十分な値を記録しています。

高周 波 の 値 で は、凝 っ た 工 夫 を せ ず に fT=45 GHz、fMAX=120 GHzという、世界最高の値を記録しています。この結果からも、ダイヤモンドが高周波に適した素材であることがわかります。大信号でもガリウムひ素トランジスタに比べ、約 2 倍の性能を記録しています。放熱性の計測では、約 1 W の消費電力動作時で約 0.6 度の上昇しか見られませんでした。ガリウムナイトライドのトランジスタでは放熱が大きく、消費電力や小型化、故障率で問題になることもありますが、材料の中で一番熱伝導率が高く、放熱性に優れているダイヤモンドが有効な対策になると期待されます。

佐賀大学ではダイヤモンドの熱伝導率を活かし、高周波高出力デバイスの RF-DC 変換についても研究しています。ダイヤモンド半導体は変換効率に優れ、高周波の信号を高電圧直流電流に変換しても、電圧が減少することはなく、また壊れることもありませんでした。大電力の送電に適し、道路から電気自動車への給電や、宇宙で発電して電力を地上に届けるなどの試みなど、新たなテクノロジーに関連する領域でも、ダイヤモンド半導体の活用が期待されています。

研究室に所属するすべての学生がオシロスコープを使用している。
研究室に所属するすべての学生がオシロスコープを使用している。

オシロスコープの活用

さまざまな測定器を使いこなす佐賀大学において、オシロスコープはローデ・シュワルツの R&S RTO1000 を使用しています。ナノ秒レベルの計測が必要となる、RF-DC変換時のスイッチング特性をパルスで計測する際に使用し、広帯域でありながら、ハイスピードな測定ができるローデ・シュワルツのオシロスコープが活躍しています。基本的な測定を含めると、研究室に属する全ての学生が、オシロスコープを操作しますが、高機能で画面も大きく、使いやすいので、スムーズに研究に取り組むことができます。このオシロスコープは、佐賀大学で研究を開始した頃、ローデ・シュワルツ・ジャパンの学生コンペティションで入賞した際の副賞として導入された、本研究室における最初の測定器で、今まで、そしてこれからの研究においても、その優れた性能で研究成果への貢献が期待されています。

普及のために必須となるウェハの大型化も着実に進んでいる。
普及のために必須となるウェハの大型化も着実に進んでいる。

ダイヤモンド半導体の普及にむけて

半導体の普及に必須となるウェハのサイズは、ガリウムナイトライドが爆発的に普及したサイズである 2 インチ(約 5 cm)の生成を実現し、大型化が着々と進んでいます。現段階は、ダイヤモンド半導体史において重要なステップになると認識しているので、このまま着実に研究を進め、数年後の実用化を目指していきます。

(左) 国立大学法人 佐賀大学 理工学部 電気電子工学科 教授 大石 敏之 工学博士 (右) 国立大学法人 佐賀大学 グリーンエレクトロニクス研究所 所長 / 教授 嘉数 誠 工学博士

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